おぢさんのつぶやき -山崎篤史ー

とうとう50代突入してしまいました。白髪が増えてきたおぢさんですが、たまに書き込もうかなぁと思います。

何者かになる必要はない──イチローに学ぶ変革と習慣形成、今日の一手で自信をつくる

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何者かになる必要はない
やるべき事をやればいい

 

 

わたしたちは「何者かにならねば」と焦りがちです。
でも、結論は逆です。
何者かになる必要はありません。やるべき事をやればいい。
この一文は、肩にのしかかる名刺や肩書から、静かにあなたを解放します。
社会の期待は、いつも少しだけ過剰です。
それに応えようとするほど、心は摩耗します。

では、どうやって心を守り、前に進むのか。
今日は、メンタル向上のための実践指針を、実在の人物の歩みに重ねてお届けします。

 

 

1. 「誰かになる」より「いまを整える」

朝、鏡の前でため息が深くなる日があります。
メールは溜まり、メッセージは光り、やることは尽きません。
「いつか大きく変わらなきゃ」と思うほど、足は重くなります。

けれど、心が本当に欲しているのは、変身ではありません。
秩序ある一回の実行です。
名前や役職は、外から貼られるラベルです。
メンタルは、内側の行動の連続でしか守れません。

だから宣言します。
“何者か”を目指す前に、“やるべき事”に時間を置く。
その切り替えが、心の乱反射を止め、集中という一本の光を通します。

 

 

2.「肩書き疲れ」が心を曇らせる仕組み

新しい役割、上司の評価、同僚との比較。
社会人の心を揺らすのは、だいたいが外的基準です。
外的基準は便利ですが、自分で制御できません
だからこそ、私たちは不安定になります。

ここで私の意見をはっきり述べます。
メンタルを安定させたいなら、評価軸を「可動域の狭い自分の行動」に寄せるべきです。
人の反応は変えられません。
変えられるのは今日の一手
だけです。

この考えを、世界的な実例で確かめます。
たとえばイチロー選手。
2004年、彼はシーズン262安打というメジャーリーグ記録を樹立しました。
それは一夜で手に入ったわけではありません。
有名なのは、結果ではなくルーティンの徹底です。
評価ではなく行動に、焦点をずらした人でした。
記録は「何者か」の証明というより、“やるべき事”の累積がたまたま届いた地点です。

この「評価から行動へ」のシフトは、宗教家や思想家の言葉にも見えます。
マザー・テレサは「大きなことではなく、小さなことを大きな愛で」と語りました。
肩書きではなく、小さな実行が人を支えると示した言葉です。
私たちが心を落ち着けたいとき、頼るべきは「称号」ではなく手順です。

 

 

3. “やるべき事”を続けるための具体ステップ

ここからは、今日から回せる実践手順です。
派手な変身は要りません。
小さく、確実に回る輪を作ります。
私は、以下の順番がもっとも摩擦が少ないと考えます。

3-1. 問題を“行動単位”で定義する(Problem Statement)

悩みを名詞で置かないようにします。
「自信がない」ではなく、「会議前の準備が薄い」など動詞に変換します。
動詞になれば、可動域が見えます。
行動に落ちない悩みは、永遠に砂上に描かれます。

  • 悪い定義:自信がない

  • 良い定義:会議前にアジェンダを5行で整備していない

5行は、ちょうど手を動かせる長さです。
曖昧さを消し、着手を早めます。

3-2. 5分の「カギ回し」を作る(If-Thenプランニング)

If-Thenは、最も簡単で強力です。
「もし朝9時になったら、最優先タスクの見出しだけを書く。」
完了形でなく、開始形にすることがコツです。
脳は開始の敷居が下がると、続きもやりたくなります。

例:

  • If 9:00 → 重要資料の見出しを3つ書く

  • If 13:00 → 午後の商談リストを3件並べ替える

  • If 帰宅後すぐ → 明日の服とPCを1分でセット

始めるための鍵を、時間に差し込みます。
これが一日の「カギ回し」です。

3-3. タイムボクシングで“過集中”を作る

長くやろうとすると、心は逃げます。
25分+5分(いわゆるポモドーロ)で十分です。
ただし、厳格なルールは不要。
“一箱=25分”という「箱感」をつくるだけで、脳は安心します。

箱に入れるのは、ひとつの動詞だけ。
「書く」「直す」「送る」。
動詞が複数になると、集中は壊れます。

3-4. “イチロー・ループ”:小さな再現性を愛する

毎日同じ所作を繰り返すと、心拍が整います。
イチロー選手が大切にしたのは、再現性です。
私たちも、仕事の冒頭に同じ所作を置きます。

例:

  • PCを開く→机を拭く→見出しの5行

  • 会議前→目的1行→参加者名→決定事項欄の先置き

  • 退勤前→明日の「最優先1つ」だけメモ

所作は小さいほど続きます。
小さいことほど、心の温度を下げます。

3-5. GTDの最小形──「受け皿・次の一手・保留」

完璧なGTDは要りません。
以下の3枚で十分です。

  1. 受け皿:気になることを全部入れる場所(メモアプリ一つ)

  2. 次の一手:今週動かす動詞のリスト

  3. 保留:先方待ち・来週以降の駐車場

ポイントは、受け皿を分けないこと。
入口が多いほど、心は迷います。

3-6. “一日一勝”の設計(OKRの超ミニ版)

目標は大きくなくていい。
Objective:今日、心を軽くする一勝
Key Result

  • 朝の見出し5行が出た

  • 重要メール1通が送れた

  • 会議の目的1行が配布できた

数字は最小限で十分です。
クリアに〇を付けられるか。
大切なのはそこだけです。

3-7. 感情の棚を作る(リフレクション:KPT

毎日は揺れます。
だから、感情を置く棚を用意します。
KPTの形で3分だけ。

  • Keep:今日うまく回ったこと

  • Problem:引っかかったこと

  • Try:明日の一手

紙でも、メモでも。
言葉に触れる指先が、心拍を下げてくれます。

 

 

4. 実在の物語が示す「評価→行動」の移動

ここで、もう一度イチロー選手に戻ります。
262安打は、人に誇るための数字ではありません。
準備・所作・一打の三点で回る、静かな歯車の結果です。

  • 準備:ルーティンで心を一定に保つ

  • 所作:試合前から同じ動きで入る

  • 一打:その場でできる最善を尽くす

この三点は、どの職種でも機能します。
営業でも、経理でも、企画でも。
外からの名誉は、内側の所作を増幅するだけです。
順番を取り違えないこと。
まずは内側の歯車です。

加えて、マザー・テレサの視点は、メンタルに水を注ぎます。
「小さなことを大きな愛で」。
私たちが今日できるのは、隣の一手を丁寧にすることだけ。
一手の質が、翌日の自分への信頼を作ります。
それは自己肯定感ではありません。
自己信頼感です。
「私は、私の明日の一手を信じられる」。
この感覚が、メンタルの骨を太くします。

 

 

5. よくあるつまずきと、立て直し方(ミニQ&A)

Q. 3日坊主で折れます。どうすれば?
A. 3日続けば十分です。
4日目はリカバリー日”と決めてください。
やらない日の設計が、継続の正体です。

Q. 重要度が同じタスクが多すぎます。
A. “苦手×重要”の一点で選ぶと決めます。
避けたいタスクから、25分の箱へ。
それだけで、自己信頼は跳ね上がります。

Q. 朝が弱いです。
A. 起床の改善より、夜に「明日の見出し5行」です。
朝一のハードルを、前夜の自分が下げます。

Q. 落ち込んだ日、どう戻る?
A. 手触りのある家事が効きます。
皿洗い、床拭き、手紙の宛名。
小さな完了感で、心の重さが減ります。

 

 

6. “やるべき事”のほうが、心を救う

結論を再掲します。
何者かになる必要はありません。やるべき事をやればいい。

理由は三つです。

  1. 外的評価は制御不能で、心を削るからです。

  2. 行動は制御可能で、自己信頼を育てるからです。

  3. ルーティンは心拍を整え、結果を後から連れてくるからです。

今日の行動提案は、これだけで十分です。

  • 朝9時に「最優先の見出し5行」

  • 25分の箱で動詞を一つだけ

  • 退勤前1分で「明日の最優先1つ」

変わるのは、明日の肩書きではありません。
明日の自分への信頼です。
それが続けば、結果は静かに追いかけてきます。
さあ、今日の一手を置きましょう。
肩書よりも、手のひらの所作を信じて。