おぢさんのつぶやき -山崎篤史ー

とうとう50代突入してしまいました。白髪が増えてきたおぢさんですが、たまに書き込もうかなぁと思います。

「隠すこと」は脳と信頼を蝕む——ケネディに学ぶ開示の力

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隠すことが心を蝕むとき
ジョン・F・ケネディが語らなかったもの「正直こそ、最も高価な誠実だ」
——ジョン・F・ケネディ

 

 

秘密がもたらす静かな崩壊

それは、まるで見えないウイルスのように静かに進行します。

職場の一角で起きた小さなミス。
誰にも知られなければ、と一人心に留めたときから、それは始まります。

最初はほんの小さな隠し事。
けれど、その沈黙が日を追うごとに重さを増し、心に澱のように溜まっていくのです。

隠すという行為は、それ自体が精神的なストレスを生み出します。
人間の脳は、矛盾を抱えたままでは安定を保てません。
言ってはいけない」「気づかれてはいけない」という思考に、脳のメモリと集中力が食われていく。

結果、創造性が落ち、判断力が鈍り、行動が遅れます。
つまり、パフォーマンスの著しい低下を引き起こすのです。

 

 

キューバ危機と“隠さない”選択

1962年10月。
世界が核戦争の瀬戸際に立たされた「キューバ危機」。
このとき、アメリカの大統領ジョン・F・ケネディは重大な選択を迫られていました。

旧ソ連キューバに核ミサイルを配備しているという情報を入手したケネディ
当初、軍部は「秘密裏に空爆を行え」と強く進言しました。

けれど彼は違いました。
ケネディはこの情報を世界に公表し、国連を舞台に外交戦へと切り替えたのです。

なぜ隠さなかったのか。
ケネディの側近は後にこう語っています。

「彼は、国民も、敵国も、すべてを“欺く”ことで得られる平和は、砂上の楼閣にすぎないと理解していた」

結果として、この“開示の戦略”は危機を回避し、核戦争を防ぐ大きな一歩となりました。

真実を隠すのではなく、対話の場に晒すという選択が、世界の未来を救ったのです。

 

 

ビジネス現場に潜む“隠す文化”

ところが私たちの多くが働く現場では、今も「隠す」文化が根強く残っています。

失敗を報告できない。
異論を出しにくい。
問題が起きても「誰かがなんとかするだろう」と沈黙が続く。

こうした空気は、最初のうちは問題を“先延ばし”にしているように見えるかもしれません。
しかしそれは、火種を見えないところで増殖させているだけです。

そして、ある日突然、取り返しのつかない炎上が起きる。
情報がオープンに共有されていれば回避できたはずの事態が、多くの現場で繰り返されているのです。

 

 

隠さない文化を築くために

では、どうすれば隠さない文化を育てることができるのでしょうか?

それにはまず、「言ってもいい」という心理的安全性の土壌が必要です。
Googleのプロジェクト・アリストテレスでも、高パフォーマンスなチームの共通点は「心理的安全性」であると結論づけています。

上司がミスを正直に語る。
部下の意見をまず受け止める。
問題提起を「責める材料」ではなく「価値あるデータ」として扱う。

こうした小さな実践の積み重ねが、「隠さない」職場を育てていくのです。

 

 

スティーブ・ジョブズの言葉に学ぶ

スティーブ・ジョブズもまた、極端なほどに「隠さない」男でした。

Appleの製品レビュー会議では、誰であっても率直な意見を求められました。
彼自身も、失敗作を堂々と「これはクソだ」と言い切る勇気があった。
そこに、隠さないことで組織が強くなるという信念がありました。

意見の衝突はあっても、それは健全な証拠。
隠し事のない現場には、鋭い知性と柔軟な対応力が生まれます。

 

 

隠すことで得られるのは安心ではなく、不安の先送り

多くの人が、隠すことを「一時的な安心」と勘違いします。
けれどそれは、安心ではなく「不安の先送り」にすぎません。

ミスを告白したとき、批判されるかもしれない。
でも、隠したままでいることは、じわじわと自分を壊していく。

隠すたびに、自己信頼が損なわれていくのです。
「どうせ自分は言えない人間だ」と、無意識に刷り込んでしまう。

自信を持ちたければ、隠すのをやめること。
それが、行動の第一歩です。

 

 

まとめ:勇気を持って“開く”という選択を

最後に、この記事を読んでいるあなたに問いかけたいことがあります。

あなたが今、心の中に「誰にも言っていないこと」があるとしたら。
それは、あなたの本来のパフォーマンスを蝕んでいませんか?

隠すという行為は、あなたの可能性を静かに閉ざしていきます。
ですが逆に、それを“開く”という選択には、大きな転機が宿ります。

間違いを認める。
ミスを共有する。
弱さを語る。

そうした一つひとつの行為が、あなたの価値を高め、チームの力を引き出すのです。

ケネディキューバ危機で示したように、真実に向き合うことが最も困難なときこそ、最も勇敢な選択が求められます。

どうか、今日この瞬間から、隠さない勇気を持ってください。
それが、あなたの人生と仕事を変えるはずです。