世の中は正義対正義で成り立っている
衝突が生む可能性
あなたは自分が「正しい」と思うことを、
まっすぐ貫いたことはありますか。
その一方で、相手もまた「自分の正義」を信じ、
激しくぶつかり合った経験はありませんか。
世の中の争いの多くは、善悪ではなく、
「正義対正義」の衝突から生まれるように思います。
わたしは、そこにこそ新しい可能性があると考えています。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの物語
公民権運動のリーダーとして知られる
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアは、
差別を「当然のことだ」と信じる人々と闘いました。
彼らもまた「これまでの生活を守ることこそ正義」と
信じていたのです。
その信念は、私たちから見れば歪んでいます。
しかし、当時の一部コミュニティにとっては大切な価値でした。
キング牧師は、ただ怒りをぶつけるのではなく、
非暴力で自分の正義を示そうと決めました。
投獄されても「暴力はさらなる暴力を生む」と語り続け、
有名な「バーミングハム刑務所からの手紙」を書いたのです。
その中には、
“Injustice anywhere is a threat to justice everywhere.”
(どこかで起きる不正義は、あらゆる場所の正義を脅かす)
という言葉が記されています。
冷たい独房で、紙切れに必死に綴ったメッセージは、
世界中に平等の大切さを訴えました。
「正義対正義」が生まれる背景
私たちが生きる社会は、多様な価値観であふれています。
家庭や職場でも、ぶつかる原因は「相手が悪い」ではなく、
「相手の正義と自分の正義が違う」ことがほとんどでは
ないでしょうか。
人はそれぞれの経験や育った環境を通じて、
「守るべきもの」や「目指すべき理想」を育みます。
キング牧師の敵対者たちも、
自分たちの慣習を守ることに必死でした。
正義同士がぶつかるのは、その双方が真剣だからです。
だからこそ、対立は避けられないかもしれません。
ただし、わたしはそこにチャンスがあると思います。
衝突をプラスに変えるヒント
衝突はつらいものです。
しかし、相手の主張を聞きながら、
自分の正義を改めて見つめ直すことは、
とても大きな意味を持ちます。
キング牧師が示したのは、
「どんな状況でも相手の人間性を認める」という姿勢です。
暴力ではなく、対話によって相手を動かそうとしました。
そして、それは最終的に公民権運動の成功へとつながりました。
もし職場や家庭での衝突に苦しんでいるなら、
思い切って相手の意見を聞いてみませんか。
なぜそこまで譲れないのか、
深く尋ねてみると意外な発見があるかもしれません。
ぶつかり合いが生む力
大人になって感じるのは、
「ぶつからないように生きる」ことが案外難しいということです。
仕事でも人間関係でも、
違う正義や価値観に出会う機会は多いものです。
わたしは、そこで生じるギャップこそが成長のチャンスだと思います。
相手の考えに少しでも納得できるところがあれば、
それを取り入れることで今までにないアイデアが生まれるかもしれません。
キング牧師以外にも、ネルソン・マンデラやガンジーなど、
「相手と対話し、共に前に進む」姿勢を貫いた人は大勢います。
彼らは、相手が間違っていると感じても、
一方的に切り捨てることをせず、社会全体を変えようと奮闘しました。
今、わたしたちができること
まず、小さなアクションから始めてみてはどうでしょう。
今週中に「苦手だな」と思う人に声をかけてみる。
その人の視点をほんの少しだけ知ろうとする。
たとえ意見の折り合いがつかなくても、
「相手がなぜそう考えるのか」を理解したときに、
衝突は一歩前進するはずです。
社会が変わるには時間がかかります。
けれど、キング牧師が独房で書いた手紙が
世界を動かしたように、
あなたの小さな行動もきっと誰かを動かす力になります。
実践してみませんか
大人として、日々が忙しく過ぎるほど、
「正しさ」を突き詰める余裕がなくなるかもしれません。
それでも、心のどこかで抱えている正義は、
人生を支える大きなエネルギーになるはずです。
もしあなたが、今まさにぶつかり合いに疲れているなら、
相手の話を少しだけ聞いてみてください。
そして、自分の正義をもう一度、かみしめてみてください。
どんなに小さな一歩でも、
その先に変化が待っているとわたしは信じています。
あなたの挑戦を、わたしは心から応援しています。